mykblog

Everyday is the best day of the year ;) と思うことにしよう。うん。

「英語のプレゼンテーション」は誰でもできる

なんとも強気なタイトルをつけてしまいましたが、本当にそう思うんです。一度、「英語でプレゼンテーションをする」と決心さえすれば、多くのプロセスを経なくてはならないものの、誰でも仕上げることができます。ただ単に「話す」こととは異なり、技術や方法を学べばできるのです。

私は「英語プレゼンテーション」という授業を数年に渡って担当してきましたが、たとえ英語力が低い学生であっても、必ず形にすることができるということを目の当たりにしてきました。プレゼンに英語力は必要ない、と言っているわけではなく、どうも別の力があれば英語力不足も充分にカバーできるようなのです。その「別の力」とは何か、下に私が必要だなと感じたものを記しておきます。

1.リサーチ力: プレゼンの目的を達成するために、有益かつ適切な情報を探す&見つける能力。ウェブ上にはたくさんの情報がありますが、真偽を見極める力も必要です。

2.論理的思考力: リサーチしたものは論理的に展開していく必要があります。導入→本論→結論の大きな展開がきちんとできるかどうか、また、個々のスライドとスライドの間に関連性をもたせて展開できるかどうかで、プレゼンの質は変わってきます。

3.身体的メッセージ(アイコンタクト・姿勢・声の出し方・笑顔)力: どんなに話の内容がすばらしくても、か細い声だったり、棒読みだったり、下を向いていたり、無表情では、聞き手をひきつけることは難しいでしょう。特にアイコンタクトと笑顔は、簡単そうでできないことで、かなりの練習が必要です。ちなみに、ジェスチャーも身体的メッセージの一つですが、まるで手話のようなジェスチャーは要らないと思います。何かを指すときにスッと手を差し出すとか、物の大きさなどをヴィジュアル化させたいときなどに使うくらいで良いかと思います。

4.スライド(資料)作成力: プレゼンには3つの「魅せる」が必要だと思います。(1)話の内容、(2)身体的メッセージ、そして、(3)提示する資料です。とても話し上手で、身体的メッセージを発信することに長けているなら、資料がなくてもまるで資料がそこにあるかのように理解してもらえるかと思いますが、そういう人はほとんどいません(私も無理・・・)。そこで、サポート的な役割として「魅せる資料」が必要なのです。その人のセンスによって仕上がりの程度は異なりますが、文字を大きく・見やすくする、文ではなくキーワードのみを書く、適切なイラストや写真を挿入する、といったことはセンスではなく学習できることです。

・・・そして、「力」ではありませんが、リハーサルを何度もすることが成功への鍵となります。英語を外国語とする学生は即興で英語を話すことはできませんし、また、そもそも即興で話すことが良いことでもありません。論理的に組み立てたものをスムーズに話し、提示できればよいのです。「スムーズに」を実行するためには、準備が必要です。何度も何度も本番を想定したリハーサルを行うことで、スムーズさに磨きをかけることができます。

2014年度新刊テキストPresentations to Go (CENGAGE Learning)のなかに、次のようにあります。

プレゼンテーションは技術です。準備を積み重ね、場をこなしていくことで上達していくものです。つまり、日本人であっても、ネイティブ以上の素晴らしいプレゼンテーションを行うことが充分に可能なのです。

よく、英語力がなければ英語プレゼンテーションなんてもってのほか、できるわけがない、と思われがちですが、では英語のネイティブは皆、英語のプレゼンが上手ですか?と尋ねたい。「英語が喋れれば、英語のプレゼンが上手にできる」「英語力がなければ英語のプレゼンはできない」というのは思い込みではないでしょうか。

さてさて・・・一人でも多くの学生に、「私(僕)でも、英語でプレゼンできるんだ!」と自信を持ってもらえれると嬉しいなぁ、なんて思いながら、今年度も本日をもってプレゼンの授業を終えました。ちゃんちゃん。

最後に、Presentations to Goのfirst authorである松岡昇先生の記事と、神戸大学石川慎一郎先生の記事も併せて載せておきます。

★ 松岡昇の毎日が英語レッスン ★ : やっとできました: 英語プレゼン教科書 - livedoor Blog(ブログ)

神戸大学石川慎一郎研究室

 

Presentations to Go

Presentations to Go

 

 

ラオス

大修館書店の『事典 アジアの最新英語事情』を使った異文化コミュニケーションIIの授業もあと3回(うち1回はテスト)です。残りはモンゴル、ラオス、日本についてです。

2009-2010年度より、中学が4年制になり、5・3・3・5から5・4・3・5に変更になったとのこと。また、当該中学生が大学を卒業する時期に大学が4年制になり、5・4・3・4に変更になる予定。

しっかし、ラオスの英語教育についての論文は(日本語・英語問わず)あまりなくて困った!だれか書いてください(苦笑)

Ministry of Education -Lao PDR
http://www.moe.gov.la/

ラオスの学校状況
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/world_school/01asia/infoC12100.html

ラオスの教育セクターの概況
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetu/gai/laos/pdfs/sect08_03.pdf

ラオス現代教育制度の変遷
http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/Report/2009/pdf/2009_403_ch8.pdf

Status Education in Laos
http://asiafoundation.org/program/overview/books-for-asia-in-lao-pdr

Teaching English in Luang Prabang, Laos
http://splendorinthelemongrass.com/2012/07/13/teaching-english-in-luang-prabang-laos/

Subject: English
http://www.moe.gov.la/ries/images/stories/cc/_12_%20English%20USE%20Cur.pdf

ラオスの英字新聞①
http://www.kpl.net.la/

ラオスの英字新聞②
http://www.vientianetimes.com/Headlines.html

Education at school in Laos(ニュース動画)


Education at school in Laos - YouTube


Lao English Class(動画)


Lao English Class - YouTube

モンゴル

モンゴルの教育は4-4-2制でしたが、2008年9月より6-3-3制になったようです。また、英語教育も小学校低学年から始まっているようです。

Travel to Mongolia
http://www.youtube.com/watch?v=v6oR2jZ9vJg

民族学校の義務教育段階における英語教育政策に関する一考察
http://teapot.lib.ocha.ac.jp/ocha/bitstream/10083/51452/1/Proceedings16_16Goihan.pdf

Ministry of Education, Culture, and Science(キリル文字
http://www.meds.gov.mn/frontpage

ELTAM (English Language Teachers' Association of Mongolia
http://www.mongoliatesol.mn/home.shtml?sel=733

National program Action plan English version (2020年までのヴィジョン)
http://resource3.sodonvision.com/eltam/file/2012/9/9yx12w20h1gizsgeyr6ekh8xq/National%20program%20Action%20plan%20English%20version.pdf

モンゴルの英字新聞①THE UB POST
http://ubpost.mongolnews.mn/

モンゴルの英字新聞②THE MONGOL MESSENGER(モンゴル初の英字新聞。閉鎖???)
http://www.mongolnet.mn/mglmsg/

モンゴルの英字新聞③MONTSAME
http://www.montsame.gov.mn/en/

モンゴル人の英語例


One Mongolia - English Lesson - Grammer - YouTube

英文メールの書き方を教えて感じたこと

英語をどのようなビジネスシーンで使っているのか、を問う調査では、たいてい第一位に「メール」がきます(たとえば下のような調査結果)。

実際にどのようなビジネスシーンで使用しているかについては、「メール」が最も多く83.9%、続いて「翻訳・文書作成」58.7%、「社内の打合せ(コミュニケーション)」40.4%、「商談」23.4%となっています。

↑詳細はこちら

私自身はいわゆるビジネスパーソンではありませんが、それでも英語をよく使うのは「メール」です。そういうこともあって、学生には英文メールの書き方や形式をきちんと教えたいなと以前から思っていたのですが、残念なことに、なかなかライティングの授業を担当することがないので、今年度、思い切って「英語eラーニング」という授業で教えてみることにしました。(この授業では、Moodleというシステムを利用しているので、ライティングの作業をウェブ上で行えば、擬似的な英文メール使用状況を作り出せるのではないかと思ったわけです。)

テキストは、金星堂の2013年新刊、Write Me Back Soon! Communication through Emailを使いました。このテキストでは、はじめにModel Emailが提示されていて、Words & Phrases, Comprehensionを解くようになっています。軽い読解問題を解いた後、頻繁に使用される重要表現(3~10個)がKey Expressions 1, 2として示されています。Key Expressions 1の後には空所補充問題、Key Expressions 2の後には和文英訳問題があり、学習者が学んだばかりのKey Expressionsを使って問題を解けるようになっています。最後のLet's Write!という項目では、リスニングで答え合わせをすることのできる和文英訳問題と、自分で実際にメールを書いてみる問題It's Your Turnになっています。

さて、このテキストを使って英文メールを教え始めてからしばらくして、私は学生のある傾向に気づきました。なかでも特に気になったのが「用件さえ書けばいい」という姿勢でした。学生にしてみたら、与えられた条件をクリアしているような英文が書ければ問題ないじゃないか、と思うんでしょうが、私としては添削するたびに「味気のない」メールを読んで、残念な気持ちになりました。

「メールの相手は人間なんだから、もらって心地の良いメールを書こうね」

と繰り返し言い、メールを書くときにはまず「相手との人間関係」をよく考え、「思いやりのあるメール」を書くことを心がけるよう指導しました。当たり前のことと言えば当たり前のことだし、こんなことを1年間もかける必要ないのかもしれないけれど、実際にはまるでできていなかったので徹底させたわけです。返信メールの出だしには「メールをくれたことへのお礼」を必ず添えること、最後も、用件を伝える文だけでブチッと切り上げてしまうのではなく、返信が必要ならI look forward to hearing from you. 返信が必要でなくても、Thanks again for your...や結びの言葉としてMany thanks, などと必ず一言を添えるよう指導しました。

半期が終わる頃は、まだまだ用件だけで終わってしまうメールが多かったのですが、その後は次第に心のこもったメールに返信、いえ、変身していきました。

ビジネスに心のこもったメールなんて要らないのでは?御礼や思いやりを徹底させるなんて、日本人的なのでは?などというご意見もあるかもしれませんが、人間関係のないビジネスはまずないですし、思いやりのないメールよりもあるメールのほうが嬉しいのは日本人だけではない、というのが私の個人的な意見です。

というわけで、「英語eラーニング」の授業は後期試験をもって本日終了。学生のどの解答を見ても、お礼や思いやりがきちんと含まれていて、指導してよかったなぁと感じています。肝心な「用件」が書けていない解答にはガッカリだけれど(苦笑)。

なお、英文メールの書き方については、日向清人先生のビジネス英語雑記帳や亀田尚己先生の記事などがとても参考になりました。

 

英文メールと社内メモ入門

http://eng.alc.co.jp/newsbiz/hinata/2012/07/post_880.html

 

異文化コミュニケーションと英文ビジネス文メールを考える

http://m.searchina.ne.jp/news/disp.cgi?y=2013&d=0903&f=column_0903_004.shtml

 

「"Japanese English"という発想」(江端智一氏)の記事を読んで

12月16日のEE Times Japanの記事 「"Japanese English"という発想」 を読みました。大手総合電機メーカーの江端智一さんという方がお書きになったものです。世の英語教員からすると、少し過激な内容を含むので、きっと受け付けない人もいるんだろうなと思ったけれど、彼の言わんとしていることはよく分かる!と思ったので、以下に記事の引用を入れながら、私個人の見解を述べていきたいと思います。 

私たちがTOEICの問題集を購入するのではなく、外国の彼らに「How to use “Japanese English”」というタイトルの本を購入させて、私たちの日本英語を彼らに勉強させるのです。そして、政府が行うべきグローバル化とは、文部科学省と外務省のタッグチームによる、この「日本英語」の海外への発信と宣言です。

外国人が日本人英語を使うわけではないので、How to use "Japanese English"ではなく、What "Japanese English" is(日本人英語とは何か)やHow Japanese use English(日本人はどのように英語を使うのか)といったタイトルのほうが適切だとは思うけれど、自分たちばかりが学ぶのではなく、相手にもこちらのこと(英語)を学んでもらうという江端さんの考え方は、対等なビジネスのつきあいにおいてなくてはならないものだと思いました。

江端私案の「日本英語」指導要領の概要と、その理由を以下に述べます。

(1)発音は、カタカナ発音で十分。発音記号の使用は廃止する

(2)日本語と同じように[a,i,u,e,o]の母音をベースとして発音する。子音を判別するような試験は廃止する

(3)イントネーションの位置、強弱は、どうでもよいものとする

(4)単数形、複数形、“the”“a”のようなオブジェクトの指定子という考え方は、無視または省略してもよいものとする

(5)自動詞に目的語を伴っても、また他動詞に不定詞を伴っても、どちらもよいものとする

(6)時制は、現在、未来、過去の3種類だけでよいものとする。完了形の履修はオプションとする。時制の一致も厳密に適用しないものとする

(7)使役受動態の主体は、動詞の種類に関わらず、前置詞の区別を行わず、全て“by”で受けてもよいものとする

(8)第4文型の2つの目的語は勿論、主語と目的語の位置が入れ替わってもよいものとする

(9)副詞と、形容詞は区別して使う必要はないものとする。名詞を副詞で形容しても良いものとする。また、英単語は、ローマ字表記で記載してもよいものとする

(10)可算名詞、不可算名詞は区別しないものとする

 なるほど。私も日本人なので、英語が上のようなものだったら「楽だろうな」と思うところもあります。その点では、江端さんは現存する日本人英語の特徴を見事に捉えているかと思います。ただ、「日本英語の指導要領」として上記を挙げることには賛同できないかな。

なぜなら、日本人英語は教育するものではなく、教育の結果、生まれるものだから。

わざわざ先生たちが日本人英語を日本人に教える必要はないと思うんです。ましてや、日本人ならこう使いましょう、なんて「日本式」を強制する必要もないかと思います。誰が、何を、どのような形で教えたとしても、結局のところ、日本語を母語とする人たちは日本人英語を発しますしね。

ところで、上に書かれている「江端案」の(1)~(10)の内容は、全部ではないけれど、ノンネイティブ(特にアジア)の英語に実際に見られる特徴でもあります。ただし、ノンネイティブの人たちはいつでもどんな場面でも独自の特徴をもった英語を話しているわけではなく、意識的に、または人によっては無意識的に使い分けをしています。

acrolect 【より対外的】←--→basilect 【より対内的】

(←--→は連続体)

その方の受けた教育レベルにもよりますが、acrolectレベルの英語からbasilectレベルの英語を行き来します。たとえば、フィリピン人が日本人と英語で話すときと、同じフィリピン人を相手に話すときとでは、その英語は異なります。同じフィリピン人同士であっても、母語が同じ人とそうでない人とでは、共有できる語彙なども違うはずです。「フィリピン英語」と一口にいっても、フィリピン的な特徴の濃いbasilectから、特徴の比較的薄いacrolectまで、さまざまなレベルのものが存在しているのです。

言葉をうまく使える人というのは、相手や場面やニーズに応じた言葉の調整、マネジメントができる人

なんじゃないかな、というのが持論です。いつも誰を相手にしても同じ言葉遣い、というのはバカっぽい。だから、いわゆる非難の対象となる日本人英語(日本的特徴の濃いもの)だって、使ってよい場面となるべく避けたほうがいい場面があるかと思います。ということで、私自身は学生のレベルに応じて(これ大事)、上の←--→の幅を広げる英語教育をしたいと思っています。使い手が、日本的な特徴を色濃くもつ英語を否定することなく、モデルとなっているネイティブの英語を絶対的な存在とすることもなく、←--→を自由に行き来できる能力が身に付くことが(私、教員としての)理想です。

とはいえ、実際に目の前にいる学生の英語力は、basilectレベルとも言い難いものがあるので、海外の人にbasilectレベルの日本人英語の実態を学んでもらうほうが、コミュニケーションは手っ取り早くうまくいくのかもしれません(半分、冗談です)。

----------------------------------------------------------------------------

EE Times Japan「"Japanese English"という発想」

http://eetimes.jp/ee/articles/1312/16/news011_2.html

----------------------------------------------------------------------------