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Everyday is the best day of the year ;) と思うことにしよう。うん。

大学生の自己紹介

英語の最初の授業では、中学校でも高校でも大学でも自己紹介をさせることが多いと思いますが、その年齢に合った自己紹介をさせることが大事だと思っています。たとえば、大学生にもなって(語りたい人はいいけれど)「好きな食べ物は〜です」といったものは、よほど強烈な印象を残す内容でない限り、聞き手にとってそれほど必要な情報ではないような気がします。

また、自己紹介というのは、好きな食べ物、嫌いな食べ物、趣味、特技など、単に自分のことをダラダラと話してもあまり意味があるとは思えません。自己紹介は一種のプレゼンです。目的は、「自分(の一部)を知ってもらう」ことなので、印象の薄い聞き流されてしまう自己紹介をしたとしたら、それは目的を果たしていないプレゼン、つまり失敗となります。

大学生に自己紹介をさせるときには、まず上のことを話します。そして、いずれやってくる就職活動のときに、また社会人になったときにこれができるかできないかで、さまざまな結果が変わってくることを告げると、学生の表情は引き締まり、「自分の何を話せば印象に残るかな...」と真剣に悩み出します。

そこで一枚の紙(A4サイズ横向き)を配布します。表側は春らしい挿絵を少し入れつつ、大きな空間を残します。裏側には下のように書いておきます(括弧書きの部分は書いていません)。クラスのレベルに合わせて、項目を増やしたり減らしたりします。

1. Name: 
2. Major: 
3. Good point(s):
4. Keyword:
5. Message: 

まず教員が上から順番に説明していきます。2番では、大学名は言えても自分の所属する学部・学科・専攻は英語で言えない、予想していたものと違った、英語で言うとこんなに難しいのか、などとクラスが盛り上がります。盛り上がったところで発音練習をします。これが終わる頃には、たいていの学生は暗記済みです。

そして、なんといっても4番で頭を悩ます学生が非常に多いです。キーワードというのは、ここでは「自分を端的に表す英単語一語(または表現)」です。パッと思いつく学生がいたとしたら、自分のことを普段からよく考えている学生です。なぜこの項目を含めるのかというと、(1)短い時間で(2)自分とは何者かを(3)印象づける、のに有効だからです。

思いついたキーワードは紙の表側に大きく書かせます。それを自己紹介のときに提示するだけで、「なぜそのキーワードなのか?」と次の話のネタにもなります。

クラスのレベルによっては、上の1番〜5番を用意しても全く話せない(文が作れない)時もあるので、タイミングを見て、教員である私もその紙を使って自己紹介をします。4番のキーワードは教員にとってもパッと思いつくものではないので、前もって用意しておきます。

ペア(たいてい隣同士)での自己紹介が終わったら、その紙をペアで交換します。次に前後でペアを組んで、交換した紙を使ってShe is ~. Her ~. と他己紹介をします。Iがsheに変わっただけでもいっぱいいっぱいの学生がいますので、机間巡視の途中でShe name is...などと聞こえてきたら、Her name is...と修正していきます。

余談ですが、大学生が思いつく自分を表すキーワード・ベスト3は以下のとおりです。

1位 positive
2位 active
3位 cheerful

自己紹介と他己紹介が終わった後に、クラス内で多く聞こえてきたキーワードを発表すると、該当者はたいてい残念がります。「みんなと同じこと書いちゃった」と。そこで、次のメッセージを大学生に伝えます。

自分らしさ、自分にしかないものっていうのは必ずあるから、大学生活の中でそれをゆっくり探して言えるようにしようね。

自分らしさを見つけられた学生は、自分のことを一生大切にできるはず。たかが自己紹介の活動なのですが、そんなことを願ってる私です。